紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所(三重県津市)
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  <紀伊半島の巨木を訪ねる>

 三重県津市美杉町三多気・真福院の大ケヤキ

 三重県津市美杉町三多気の真福院は、現在の美杉町上多気(現北畠神社)に本拠を置き、伊勢国司として戦国時代まで南勢地域を支配した北畠氏の祈願所であった。伊勢奥津駅から国道368号線(旧伊勢本街道)を奈良方面に行き、杉平というところで右折し、真福院の参道に向かう。真福院に登る参道には北畠氏が植えたとされる山桜の古木の並木道があり(「さくら名所百選」(財団法人日本さくらの会))、桜の季節には観光客で溢れる。今回はゴールデンウィークの初日であり、訪れる人はほとんどいなかったが、若葉が美しく、ウグイスの鳴き声を聞きながら山里風景を楽しむことができた。桜並木の起点の駐車場から真福院まで約700m程参道を登った。ずっと登り坂であったので、真福院に着くまでやや疲れたが、朱色の山門を石段の上に見つけると疲れも吹き飛び、ケヤキの大樹に出会うことが出来た。

 この大ケヤキは、隣に生える2本のスギの大樹とともに、深閑とした山寺の歴史とともにあり、樹齢が1000年以上とされているので、北畠氏が盛んであった頃に、北畠家当主がこの祈願所に参詣した折りには、この大ケヤキの側を通ったと想像される。

 この大ケヤキは、昭和15年に三重県の天然記念物に指定された。崖際に生育しており、すぐ隣にはスギの大樹が2本生育し、競合しているが、生育に問題はなさそうだ。
 
(写真をクリックすると拡大します)
真福院の大ケヤキは、山寺の一角に生育している。

大ケヤキは、崖っぷちに生育している。昭和15年に県の天然記念物に指定されたことを記した看板がある。
大ケヤキの上部の枝振り。
大ケヤキの全体。
真福院山門への石段の途中には、スギの大樹が両側から張り出て、その間を参詣者が通る。北畠氏の祈願した14〜16世紀には、参道はもっと広かったはずだ。この2本の大スギの直ぐ左側に、大ケヤキが生育している。

三多気の桜並木は、桜が終わって若葉の季節になっていた。訪れる人はほとんど無く、山里風景の中にひっそりとしていた。新緑の季節に訪れるのも、静かでよいものだ。

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